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税務・会計コラム

個人事業と法人の比較 〜法人設立を検討されている方へ〜

今回は、法人設立を検討されている方へ、個人事業との比較をしながら説明していきます。

 

◆法人設立を検討するに当たっては、以下のようなメリットとデメリットを知っておく必要があります。

メリット

・法人から給料を支払うことができる。

・個人事業主が親族に給料を支払う場合、税務署への届出が必要。また、親族所有家屋への家賃の支払いは、経費として認められない。

 一方、法人にこのような規定はない。

・青色申告の届出をすると、赤字が発生した場合は翌年以降に繰越し、利益と相殺することができる。その期間が個人は3年であるのに対し、法人は7年。

・銀行融資が受け易い。

・家事と事業の区別が明確になる。
デメリット
・法人設立費用が必要(最低20万円程度)。

・決算が赤字でも、毎年最低7万円(住民税均等割))の納税が発生。

・交際費の1割が損金(費用)として認められない。

 

法人設立の大きなメリット

法人設立の一番のメリットは、法人から給料が支払える点です。

なぜ、給料を支払えると得なのか?

給与所得には給与所得控除という概算上の経費が認められるためです。

そのため、収入金額が同じでも、個人事業主の場合と、法人化して、給与として受け取る場合とでは、所得金額(税額計算の元となる金額)が異なります。

 

(例)同じ事業を、個人で行った場合と、法人で行い給与を支払った場合とで、税金を比較してみると…

 

【図1:個人事業の場合と法人化し給与支給した場合の税額比較】

(単位:万円)

<個人事業> <法人設立し、給与を支給>
収入

1,000

必要経費

600

所得

400

青色申告特別控除

65

所得控除(※)

95

課税所得

240

           
           
           
所得税

14

     
収益 1,000    
費用 600    
給料 400
→給与所得266
法人所得 0    
               
給与所得 266    
所得控除(※) 95    
個人課税所得 171    
               
法人税 0    
所得税 9    
        9    

(※)所得控除(社会保険料控除,生命保険料控除,基礎控除等)を95と仮定

 

法人化の二つ目の大きなメリットは、所得税と法人税では税率構造が異なるため、所得が多くなると法人税率の方が低くなる点です。そのため、所得の多寡も、法人化を検討する際のポイントとなります。

 

【図2:所得税率と法人税率の比較】 

<所得税率>

税率

控除額

 〜 所得195万円未満  …  5%

― 

 〜 所得330万円未満  … 10%

97,500円

 〜 所得695万円未満  … 20%

427,500円

 〜 所得900万円未満  … 23%

636,000円

 〜 所得1,800万円未満 … 33%

1,536,000円

 所得1,800万円以上    … 40%

2,796,000円

<法人税率>

税率

控除額

 〜 所得800万円以下  … 22%

 所得800万円超     … 30%

640,000円

               

【図3:個人事業の法人化を検討する所得分岐点】

(単位:万円)

<個人事業> <法人化し、給与を支給>
収入

1,500

必要経費

700

所得

800

青色申告特別控除

65

所得控除(※)

95

課税所得

640

           
           
           
所得税

85

     
収益 1,500    
費用 700    
給料 600
→給与所得426
法人所得 200    
               
給与所得 426    
所得控除(※) 95    
個人課税所得 331    
               
法人税 44    
所得税 23    
        67    
 

2と図3をご覧になってお分かりのように、所得800万円前後で法人税率の方が所得税率よりも低くなるため、ここが法人化の一つの目安と言えます。

 

しかし、法人化には前述したようなメリットがありますので、所得600万円から700万円前後でも、十分検討する価値はありますし、場合によっては、それ以下というケースも考えられます。いくらであれば法人化した方が絶対得であるとは、一概には言えないのです。

 

例えば、図1をご覧になると、所得400万円でも法人化した方が得なのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょう。確かにその通りです。しかし、ここでは法人所得が発生しない単純なケースを想定しているため、所得税のみの比較となっています。

 

法人化した場合、給与をいくらに設定し、また、法人所得がどの程度発生するかによって、税負担は変わってきます。

 

そのため、単純に税率のみを比較するのではなく、その他のメリット、デメリットを含め、法人、個人、どちらの形態が、よりご自身の事業に適しているか、専門家のアドバイス等を元に、総合的に判断した上で、法人化を検討されると良いでしょう。

 

※用語、税額計算等、簡略化して記述している部分があります。

 また、平成2031日現在施行法令に基づく資本金1億円以下の法人を前提としております。

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